午前3時のヒロポン

尿意を催して目が覚めると午前3時だった。

ポストに突っ込まれている新聞が袋に入っているので雨だと知る。

スマホの片桐さんが点滅しているので見るとキツネからのだった。

古いサザエさんの漫画が添付されている。タイトルがヒロポンだった。

ヒロポンというのは終戦後に広まった精力剤で、いわゆる覚せい剤である。

昔は公然と覚せい剤が売られていたのである。

それが今、ちょいと服用しただけで連続殺人犯のような扱いを受けるようになった。おそらくキツネは今でもこんな風に簡単に手が入ればいいのになぁという意味で送ったのだろう。いよいよ疲労の限界老人になって来たのだ。

もう一度ベッドに潜って眠ると夢を見た。このところよく見る放浪の夢だ。

どういう意味があるのか、私は歩き続けている。要するに実際の人生のようなものだ。意味もなく生きている人生のようなものだ。

どうやら私は街を目指しているらしかった。道すがら、私は昆虫を拾う。4〜5センチはあるだろうか、おけらというよりもシャコに似た虫だった。

私を見張っているような女の子がいた。中学生くらいで、くノ一のように私の後をずっとつけている。

丘に差し掛かって登り坂を歩いているとどんどん傾斜がきつくなっていった。参道のような階段になり、30度くらいあるので手すりに掴まらないと登れないほどだ。

寺のようなところがあったので休むことにした。女の子もついてくる。

私たちは本堂の中で二人きりになる。言葉も交わすこともなく二人は椅子に座っている。私はカバンから虫を出してテーブルに置いた。何だかぐったりして、死んだように見えた。女の子と二人でじっと黙っているのも居心地が悪いので出かけることにした。すると虫が突然後ろ向きに飛んでいった。死んだふりをしていたのか。私が靴下を履き直していると、女の子はさっさと先に行ってしまった。

眼が覚めるとまた尿意を催していた。