焼うどん

悩んで・・・・・・焼きうどん。

ランチでしか入った事のないお蕎麦屋さんだったが、

空腹感の解決先を捜していた夜、ふと目に入った。

やや暗い感じだが、よく見ると営業はしている様だ。

扉をスライドさせると偶々なのか、お客は私一人だけ。

外の交通音のみが聞こえている静けさが心地良く、

我が身が疲れている事に気付かされる。

着席。メニューを開く。

蕎麦屋さんという事で、

いつもお昼は天せいろや温蕎麦系を頼む事が多い。

しかし今回は夕食時で気分が少し違うからなのか、

丼ものなども気になったりして目がウロウロする。

悩んで・・・・・・焼きうどん。

味噌汁付き、というのにも何となく惹かれて、

蕎麦屋さんの焼きうどんっ、て事にしてみた。

で、これが正解であった。

味噌汁を啜った瞬間、

「あっ、これ美味い方のやつだ」と感じた。

出だしから有難かった。

焼きうどんも美味しい。

踊る鰹節に天かすかけて、お箸入れれば、

甘いキャベツにナルト君もいるよ。

優しい味わいの具沢山。

「この心身に沁みわたる感じの美味さは何だろう」

味噌汁と焼きうどんそのものの美味しさは勿論として、

あとは単に疲れと空腹から来るものだけなのだろうか。

その時、祈りの様に思った。

「嗚呼、これが今日という、

どうにか過ごした一日の味わいであるならば

・・・・・・そうであって欲しいな」

今日という一日を思う。

あたたかいものが生じた小さな関わりが、

少なくとも三つあった・・・・・・

いや、三つもあった。

自分から関わって行く事で起こせた、ささやかな事。

それはささやかではあるが、

花も無い荒野よりは豊かな感じのものだった。

今日は、良かった。

傷もある昨日と、

見えない明日を思わなければ。

昨日と明日から切り離された、

単体の今日だけが、いい感じ。

それで、いいのだろうか・・・・・・

いいんではないか。

うん、それでいいんだ。

それで充分だ。

昨日と明日に潰される位ならば、

今日を味わえる方がいい。

今日得た、いい感じ・・・・・・

それで充分だ。

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